寄稿者:スティーブン・セネット(メルボルン・ロータリーEクラブ 幹事エレクト)
ロータリー年度も残すところあとわずかとなりました。クラブでも伝統的な交代式について検討を始めている頃だと思います。しかし、新型コロナウイルス流行による世界での数多くの変更と同じく、交代式も直接顔を合わせて行うことができない状況となっています。延期や中止にすべきか、という問い合わせがクラブから寄せられていますが、むしろ私は、「オンラインで開催してはどうか?」と思うのです。
オンラインの交代式なんて非現実的に聞こえるかも知れません。しかし、オーストラリアに住むロータリアンなら、大成功を収めた新しいアンザック・デー(オーストラリアとその周辺国の祝日)を思い出すでしょう。この文化的祭典は従来、物理的に集まって行われてきたものです。ロータリーの場合、アンザック・デーとは違い、オンラインイベントの分野で既に豊富な経験を有しています。
クラブが最初にすべきことは、交代式がなぜクラブにとって重要なのかを考えてみることです。その答えはクラブによって異なるでしょう。その答えにこそ、顔を合わせた交代式の大切な部分を一つも犠牲にせずに、オンラインで開催するためのカギが隠されています。交代式の一般的な要素は次の通りです。
- 功績を称える。一年間の懸命な活動を振り返りましょう。これは単に会長や理事会の自画自賛ではなく、すべてのロータリアンが誇りを持てるものとすべきです。
- 奉仕に感謝する。大きな貢献をした会員を称えることも重要です。奉仕活動における懸命な努力や惜しみない寄付に拍手を贈るべきです。
- これからの一年に目を向ける。新たな奉仕の機会や、より良い未来のために仲間と一緒に活動できる機会を楽しみにすることも大切です。この気持ちが、希望の源となるからです。
- 親睦を分かち合う。今ほど人とのつながりが大切な時はありません。Zoom上で気さくな会話をするのは難しいかもしれませんが、それでも友情の絆を固く保つことが重要です。
では、交代式をどのように企画すればよいでしょうか?以下は、各段階に応じたアドバイスです。
式次第を決める
オンラインだからといって、式次第を変更する必要はありません。既にプログラムがある場合、それをそのままオンラインに移行して実施すればよいのです。
交代式を開催する
まずは、腕の良い進行役を選びましょう。進行役は、参加者の注目を引きながら交代式を進行し、予定通りの時間に沿って進めることが求められます。オンライン会議ツールの使い方やイベント開催に役立つ機能を把握しておきましょう。例えば、一部の参加者のマイクをオフ(ミュート)にする機能が重宝するかもしれません。また、進行役が参加者への対応に集中できるように、テクニカルなサポートはほかの人に担当してもらうと便利です。
賞の授与や表彰を行う
クラブ会長が受賞者や表彰者を発表する時間を設けましょう。ポール・ハリス・フェローのレベルアップなど「サプライズ」ではない場合は、早めに表彰の品を郵送し、当日にピンを着用して参加してもらいましょう。そのほかの認証品も先に郵送しておき、交代式でみんなに披露してもらうとよいでしょう。退任する会長への記念品の贈呈などはオンラインでは物理的に不可能なため、前もって動画で撮影しておくこともできます。役員バッジも郵送するか、予め本人の自宅に届けておくことができます。
大勢の出席者に対応する
大勢の人が出席するZoomミーティングに参加したことがある方なら、誰が話しているのかわからない、誰がどこにいるのか見つからない、全員の顔が表示されているのかどうかわからない、といった経験があるはずです。そんな時は、Zoomのスポットライトビデオ機能を使用することで、ホストを一人だけを選んで画面に映し出すことができます。例えば、受賞スピーチでこの機能を使えば、受賞者だけを画面に表示できます。大規模なイベントの場合は、早めに計画して予行練習しておくことをお勧めします。
新型コロナ流行が収束するまで交代式を延期してもよいか
それも可能です。交代式は会員のために開催するものであり、どうするかはクラブが決めることです。ただし、急いで延期を決めてしまう前に、交代式は節目となる行事であり、引継ぎという観点からも年度の変わり目にできるだけ近いタイミングで開催するものであることを考慮してください。7月1日より遅れれば遅れるほど、交代式の意義が薄れてしまう可能性があります。例えば、11月に従来の形式で交代式を行うことが、6月にオンラインで実施するよりも意義があると言えるでしょうか。
新型コロナウイルスは、会員の参加促進という点で課題をもたらしています。どんなに努力しても、会員にとってロータリーとの距離感が前よりも大きくなってしまうかもしれません。そんな今だからこそ、交代式は、ロータリーの活動を称えあい、クラブの一員であることの意義を再確認する素晴らしい機会なのです。これほど大切な行事を後回しし、新年度への意気込みを新たにする機会を失ってしまえば、7月の会費を払う気分になれない会員がいてもおかしくありません。