「これからは、ともに助け合う“共助”の時代」
ジャーナリスト 小宮山 洋子様(元NHK勤務・元厚生労働大臣)
「これからは、ともに助け合う“共助”の時代」 ジャーナリスト 小宮山 洋子
日本は、世界で一番高齢者の比率が高く、子どもの比率が低い国になっています。財政的にも、人手の面からも、「公助」に大きく頼るわけにもいきません。
「自助」努力は、ほとんどの人が、すでにしています。これからは、「ともに」手を携えて助け合っていく「共助」の時代だと思います。
私は、NHKで26年、国会議員として15年働いた後、8年前から、子ども頃から将来は住みたいと考えていた軽井沢に移住しています。学者の父と夏を過ごしていた頃にはわかりませんでしたが、住んでみると、住民と行政が、
「ともに」活動する「協働」ということが、ほとんど行われていません。別荘税で財政的に豊かなためもあるかと思いますが、役場は、お上意識が強く、住民の意見は取り入れず、自分たちのやり方を貫いているように感じました。私は、これまで多くの経験をさせていただき、せっかく大好きな軽井沢に住んだのですから、できることは仲間とともにやっていこうと思い、ボランティア活動を始めました。だんだんに増え、現在は10を超えています。無償のボランティア活動ばかりで、1ヶ月のスケジュールは埋まってしまい、活動すると友人も増えて、充実した第3の人生になっています。
ボランティアの内容は、図書館を支援する図書館友の会の率先して動く顧問。
軽井沢では老舗の軽井沢文化協会の理事、年4回発行している「軽井沢たより」の編集長や、情報公開小委員会の委員長。児童養護施設・軽井沢学園の佐久にある子どものグループホームでの夕食作りは、月1回、子どものリクエストを聞いて作り7年になります。
今、一番人が集まるのは、まる4年になる、「フードバンク軽井沢」を基に
した、いわゆる子ども食堂「あたしキッチン」の活動です。2017年2月に、フードバンク軽井沢を作りたいと相談され、2月に勉強会を開き、3月にフードバンク軽井沢を設立。4月に食品持ってきてもらうフードドライブを行い、5月にそれを基にした「こどものいばしょ~あたしキッチン」を始めました。中央公民館を会場に、月1回原則第4土曜日に開催しています。子どもは無料、大人は300円です。子どもと幼児さんの保護者、子どもと楽しく食事をして次回の食材費を提供してくれる大人も歓迎で、子どもへの食事の提供と世代間交流の場にしています。
4年間の平均で55人、最大97人が来てくれています。子どもの貧困対策として知られる子ども食堂ですが、レッテルを貼られるなどで子どもが来ないということもあり、誰でもいらっしゃいということで、「こどものいばしょ~あたしキッチン」としています。ボランティアも20人余りが登録して、可能な人が集まって続けています。
ボランティアは、できる人ができる時にすればよい、ということを大事にして、楽しくやっています。また、何かを始める時に、この問題もあの問題も解決してから、などといっていると、いつになっても始められません。私は、やろうと思った時が始めるタイミング。自分たちの身の丈に合わせて、すぐにやってみよう。そして直した方がよいところは、やりながら直していく、ということでやってきています。多くの人が「ともに」助け合い、次の世代に少しでもよい形で社会を引き継いでいければと考えています。